PR
技法とコラム

レベル2の低温調理・真空調理とは

技法とコラム
記事内に広告が含まれています。

レベル2の低温調理・真空調理では、ノズル式、またはチャンバー式の真空パック機を使用します。

レベル1との大きな違いは、作りおき程度の保存が前提になっていることです。

汁気のある煮ものなど、※チルド袋もの惣菜のような・・・・真空調理を実践していきます。

※あくまでもシンクウキッチンが独自に分けているレベルであり、一般的な定義があるわけではありません。
※チルド袋もの惣菜は業務用の厳格な管理体制で作られています。家庭用機器での真空調理で業務用と同じ保存日数は期待できません。

※機器の呼称や詳細の手順については、他所のレシピと異なる場合もあります。

レベルどんな必要な機材メニュー例工程
レベル0食材そのもの低温調理器ゆでたまご
温泉たまご
レベル1調味液を使用しない単一の食材フィルム状の袋
低温調理器
サラダチキン
鶏ハム
ビーフステーキの下処理
下処理
脱気包装
調味液
一次加熱
(冷却)
レベル2調味液を使用した単一食材のおかずサラダスピナー
食品真空袋
チャンバー式・ノズル式の真空パック機
低温調理器
かぼちゃの煮もの
きんぴらごぼう
小松菜の煮びたし
豚の角煮
下処理
袋詰め
調味液
脱気密封
一次加熱
冷却
二次加熱
レベル3肉と野菜、異なる処理温度の複合メニューサラダスピナー
ノズル式真空パック機・チャンバー式真空パック機
低温調理器
牛丼の具
親子丼の具
肉じゃが
筑前煮
下処理
袋詰め
調味液
脱気密封
一次加熱
冷却
二次加熱

レベル2からは、より本格的な真空調理へ

レベル2の低温調理・真空調理は、本格的な真空調理の要素も取り入れています。

概要は、未完成の食材と調味液をいっしょに脱気密封し、一次加熱、冷却保存、二次加熱する工程を踏みます。

ただし、保存日数については作りおき程度とお考え下さい。

もちろん食材やメニューにもよりますが、何より業務用機器との間には圧倒的な性能差があります。

脱気密封の完成度、危険温度帯を通過する速度など、どれをとっても家庭向けの機器で及ぶものではありません。

特に、保冷温度の差は歴然です。

容量が小さく開閉回数の多い家庭用の冷蔵庫では、常に3℃以下に保つことは難しく、庫内の配置によってもずいぶんと温度が異なります。

脱気密封の完成度は酸化速度に大きく影響するため、保存日数について過度の期待は禁物です。

レベル2の低温調理・真空調理の特徴

下処理した食材を調味液とともに脱気密封し、低温調理器で加熱します。

そのため、液体の脱気密封が可能なチャンバー式、またはノズル式の真空パック機を使用します。

専用袋を必要とする真空パック機は脱気溝式であり、液体の脱気密封が不安定なため使用できません。

加熱温度は一般的なスティック状の低温調理器でも可能な95℃以下が中心です。

基本的なメニュー

上限温度の95℃で加熱する野菜の煮ものが中心です。

野菜はその内部に大量の水や空気を含んでいるため、生のまま脱気密封して加熱してもうまくいきません。

下ゆでや低温ブランチングといった手法を用い、余分な水や空気を処理しなくてはならないのです。

ブランチング→水冷→サラダスピナーで脱水という流れは真空調理の基本であり、通常の調理にも大いに役に立つ調理方法です。

最終仕上げをフライパンで行うきんぴら各種やたまごとじ丼の具など、ガスコンロ調理と組み合わせるものもあります。

使用する袋

業務用のナイロンポリ製(PE・PA)の食品用真空袋を使用します。

いわゆる家庭用真空パック機の専用袋とは、ナイロンポリ製の袋にエンボス加工を施したものです。

エンボス加工のある真空袋はノズル式の真空パック機では使用できません。

「専用袋不要」という表現は、※市販のポリ袋が使えるという意味ではなく、正しくは「一般的な業務用の真空袋ならすべて使える」という意味です。

※ポリエチレンは微量に酸素を透過する性質があり、徐々に脱気密封がゆるんでしまいます。

素材はナイロンポリで、プラ回収表示PE・PAの記載があるものです。

プラ回収表記俗称特徴
PE(ポリエチレン)低密度ポリエチレンツルツルした触感
シール加工しやすいが酸素を透過してしまう
PE(ポリエチレン)高密度ポリエチレンシャリシャリした触感
伸びにくいが破れにくい
PE・PA(ナイロンポリ)ナイロンポリ製の真空袋ツルツルしてしっかりした厚手の触感
両素材の弱点を補う多層構造

真空袋には様々な形状があり、両サイドが折り返しのチューブタイプや底部と両サイドを閉じた3方シールタイプなどがあります。

機材

レベル2の低温調理・真空調理に欠かせない機材です。

サラダスピナー

下ゆでした野菜の脱水に使用します。

遠心力を利用し、手で絞るよりも食材の組織を傷めず、均一に脱水することができます。

業務用の真空調理でも遠心力による脱水方法が取られ、大きなドラム缶ほどの脱水機もあります。

チャンバー式またはノズル式の真空パック機

液体の脱気密封には欠かせないのがチャンバー式・ノズル式の真空パック機です。

専用袋が必要とされるほとんどの家庭向け真空パック機は脱気溝式で、液体の脱気密封が安定しません。

チャンバー式では㈱ワイドシステムが販売する『真空パックんシェフ2』をおすすめします。

【PR】\液体・粉末・油脂もらくらく真空パック/
無料!今なら真空袋100枚プレゼント

ノズル式では、ジェネティック合同会社が販売する『フードシールドJP290スタンダード版(大容量集水カップ)』がおすすめです。

液体包装可能で販売実績も豊富であるため、手頃な入門機としておすすめです。

低温調理器

レベル2の低温調理・真空調理の加熱温度帯は95℃以下です。

スティック状の低温調理は、たとえ1000wオーバー・上限温度95℃の機種であっても92℃以上を安定させることは難しく、それ以上の温度域は気密性の高いコンテナや密閉性の高いふたが必要です。

その他の加熱方法としては、任意に温度設定できる電気圧力鍋の低温調理モードを使用することもできます。

シンクウキッチンでは、シロカのおうちシェフPROをメインに使用しています。

機器の費用

参考例としてシンクウキッチンで使用しているメイン機器の価格を。

商品名定価
サラダスピナーKEYUCAフォーウェイ・サラダスピナー¥4,980
真空パック機フードシールドJP290スタンダード版(大容量集水カップ)¥16,980
真空パック機チャンバー式真空パック機・真空パックんシェフ2¥55,800
加熱機器おうちシェフPRO¥17,980

その他のツールでは、デジタルはかり・中心温度計が必須です。

安価な¥10,000以下のスティック状の低温調理器も補助的に使用しています。

真空袋は100枚単位から購入可能で、サイズにもよりますが1枚あたり15円前後から販売されています。

調理のポイント

基本的な考え方としては、先に食材のテクスチャを整え、そこに味を入れていくというイメージです。

通常調理では連続的に進行しているので気づきませんが、料理人で言うところの「味をのせる」「味を入れる」という工程を分ける感覚です。

下処理

下処理は低温調理・真空調理において最初にして最重要な工程。
本質的には必要なものを残し、不必要なものを減らす工程です。

余分な脂やアクなどの他に、水や空気などいつもの調理では気にもしなかったところも影響してきます。

野菜の軟化

野菜をやわらかくするためには、90℃以上の湿熱しつねつが必要です。

しかし、対流熱のような激しくぶつかる分子エネルギーではなく、フィルムを介した優しく包み込むような熱伝導です。

下処理以上に軟化させるためには、92℃以上は欲しいところです。

野菜は60~80℃付近でもゆるやかに軟化してしていますが、別の成分・酵素を要因とした硬化現象こうかげんしょうも同時に進んでいます。

そして、硬化と軟化の優位性が逆転するのが80℃付近であり、より顕著に軟化しはじめるのが90℃以上なのです。

肉の硬化と軟化

肉は3種類のたんぱく質が熱変性することでかたくなります。

構造のイメージは、フレームを作るコラーゲンなどの肉気質にくきしつたんぱく質、収縮運動などをにな筋原線維きんげんせんいたんぱく質、オイルのように色や質感のもとになる筋漿きんしょうたんぱく質です。

基本的に不可逆性の熱変性ですが、コラーゲンを加熱分解して得られるゼラチンは、温度によってゲル状(ゼリー状)とゾル状(液状)を可逆的に変化させることができます。

調味液

レベル2の低温調理・真空調理からは調味液を使用します。

調味液とはいわば調味料をあわせた煮汁ですが、低温調理・真空調理の場合、通常よりもぐっと水分が少なく、濃い味付けになっています。

これは食材から出る水分も加味した最小限の液体量に抑えるためです。

そして、その目的は熱伝達の効率をあげ、より少ない時間で中心部まで熱が届くようにすることです。

調味液は用途によって希釈を変える濃縮つゆ、いわゆるめんつゆ・・・・とよく似たイメージです。

タイプの違う濃縮つゆを上手に使い分けることで、簡単に低温調理・真空調理を進めることができるのです。

日持ちについて

低温調理・真空調理が何日持つかについては答えようがありません。

あえて言えば、それぞれのお宅の作りおきよりも、ほんの少しだけ日持ちする程度です。

ただし、加熱後の急速冷却と保存の状態などが適切であった場合に限ります。

なぜなら、使う食材も違えばその鮮度も違い、台所の環境も違えば加熱調理器や冷蔵庫の性能も違うからです。
さらには、再加熱して盛りつけ、食べるまでの時間、食べる人の体質体調もまるで違います。

とてもではありませんが、画一的に「〇日はもちます」と言えるようなものではありません。

賞味期限・消費期限とは、材料から出荷までが管理下にある食品製造でのみ表記できるものであるはずです。

レベル2の低温・真空調理例

レベル2の調理例はこちらです。

まとめ

レベル2の低温調理・真空調理は、ノズル式またはチャンバー式の真空パック機と、低温調理器で調理可能な範囲です。

真空調理の根幹は温度と時間のTT管理。
ボタンひとつのデジタル感覚ですが、その本質を支えるのは調理科学であり、下処理の加減というなんともアナログなものです。

ぜひレベル2をマスターしていただき、真空調理の真骨頂、レベル3へとチャレンジしてください。

【PR】\液体・粉末・油脂もらくらく真空パック/
無料!今なら真空袋100枚プレゼント

コメント

タイトルとURLをコピーしました