定番おかずの肉じゃがですが、そんなやさしいもんじゃありません。
その正体は、変性・軟化温度の異なる食材がひしめき合うなんとも不条理な料理です。
名だたる料理家でさえ、にんじんを抜いたり、じゃがいもだけは電子レンジを使用したりと、四苦八苦されているご様子が目に浮かびます。
ならば。
真空調理・低温調理でそこら辺の不条理をコントロールするとどうなるか?
思い描く理想の肉じゃがそのまんま。
どこまでもノーマルな、それでいてパーフェクト肉じゃがをご堪能ください。
もちろんストックにも。
ノーマルでもパーフェクトな肉じゃがの低温調理|一次加熱の温度/時間
食材 | 大きさの目安 | 1人前 | 2人前 | 3人前 |
---|---|---|---|---|
牛スライス | うす切り | 40g | 80g | 120g |
じゃがいも | 角切り:1㎝ | 60g | 120g | 180g |
たまねぎ | くしぎり:1㎝ | 30g | 60g | 90g |
にんじん | 乱切り:2㎝ | 10g | 20g | 30g |
糸こんにゃく | カット:7㎝ | 10g | 20g | 30g |
創味 すき焼きのたれ | 創味食品 | 30ml | 60ml | 90ml |
一次加熱温度 80℃/40分
調味液はあまからタイプの創味すき焼きのたれ。
じつは、創味通販限定の手造り料理の素はすき焼きのたれとほぼ同じ成分。
1000mlサイズをご希望であれば、創味通販を試してみてはいかがでしょうか?
創味好きにはたまらないアイテムがいっぱいありますよ。
ノーマルでもパーフェクトな肉じゃがの低温調理|手順
下処理
牛スライス
70℃前後で下ゆですることで余分な脂分とアク、水分を抑えます。
菜ばしなどでバットに取り、空冷しておきます。
お肉の下処理についてのあれやこれやは別記事にて。
じゃがいもの下処理
にんじん・たまねぎ、その他の食材の下処理
にんじん・たまねぎは下処理の段階で、食べて気にならないかたさに整えます。
にんじんを水から、7割程度のかたさでたまねぎを追加します。
かたさが整ったらザルに移して水冷しますが、直前に糸こんにゃくも入れて湯通しを済ませてしまいます。
水冷し、粗熱が取れたらサラダスピナーで脱水します。
サラダスピナーはKEYUCAの4WAYサラダスピナーを使用しています。
下処理食材の混合
各食材がそろったらバットなどで混合し、10℃以下まで冷まします。
ここまでが下処理の工程です。
袋詰めと計量
真空袋に詰めます。
注意点は以下。
- シール部分を汚さない
- 折返しのラクなチューブタイプがおすすめ
- 袋の容積1/3を超えない程度におさえる
調味液の投入
調味液は食材重量(下処理後)の30%が目安です。
しっかり味付けしたい場合は希釈なしのストレートで。
ほんのりうす味なら1:1で希釈します。
真空調理・低温調理では、食材の水分が影響するため、パッケージ記載の希釈よりも濃く使用します。
液量の計算はこちらのフォームを使ってください。
脱気密封
液体のパックが可能なチャンバー式、またはノズル式の真空パック機で脱気密封します。
食材の真空パックを日常的に行うようであれば、精度もよくメンテナンスもラクなチャンバー式がおすすめです。
関連記事:【家庭向けチャンバー式真空パック機・真空パックんシェフ2をレビュー】専用袋いらずで液体も粉末もOK
ノズル式ではフードシールドJP290がおすすめです。
家庭向け真空パック機選びに迷ったら、こちらをご覧ください。
一次加熱と冷却
低温調理器、または温度コントロールができる電気圧力鍋で加熱します。
シンクウキッチンでは、シロカのおうちシェフPRO Mタイプを使用しています。
牛肉の硬化を避けつつ、中心温度75℃/1分以上に値する一次加熱を行います。
一次加熱 80℃/40分
予熱に15分ほどかかるので、スタートから65分の作動時間です。
作動中は蒸気の漏れもなくほぼ無音。
電子音も控えめなので、本当に静かです。
作ってすぐに食べるのであれば、ここで調理完了です。
保存する場合はすぐに冷却
保存する場合は加熱終了後、急速冷却します。
- 加熱終了後30分以内に冷却開始
- 90分以内に3℃以下まで冷却
- 保存中は1~3℃を維持
二次加熱
保存後、食べる直前の加熱が二次(最終)加熱です。
二次加熱 80℃/40分
- 加熱後は2時間以内に食べきり
- 再保存は不可
- 電子レンジは加熱むらに注意
80℃を上回ると肉がさらにかたくなるので、レンジ加熱はおすすめしません。
パーフェクトな仕上がりにこだわるなら、低温調理器での再加熱を行ってください。
ノーマルでもパーフェクトな肉じゃがの低温調理|盛りつけ
絹さやなど季節のみどりを添えると見栄えもずっと良くなります。
切り落としでなく、すき焼き用ロースをふんだんに使ってもいいでしょう。
もはや副菜ではなく、完全にメインを張れる一品に仕上がります。
肉じゃがににんじんが入るだけで、思いのほかタイミングはくずされてしまいます。
しかし、思い浮かべる肉じゃがにはにんじんの朱色が欠かせませんよね。
回避するポイントは各食材の変性温度を見極め、テクスチャを整えてから味を入れる。
肉じゃがは、真空調理・低温調理の基本を理解できる格好のメニューです。
マスターすれば、レパートリーは格段に広がるでしょう。
「型を整え、味を入れる」、じつは料理の基礎に忠実な真空調理。
たのしいですね、調理科学。
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