ひとり分のごはんを炊くのに必要だったのは、コンパクトな炊飯器ではなく真空パック機でした。
チャンバー式真空パック機と低温調理器で、毎回茶わん1杯分のごはんを炊く方法です。
「釜を洗うのが嫌」
「小分けにして冷凍するのがめんどくさい」
ただ、だらしないズボラではなく、やりたくないことをやらないためにやることをやる。
そんなシン・ズボラさんのための炊飯方法かも知れませんね。
袋の中は圧力IH方式の炊飯器と同じ状態なので、味は折り紙付き。
「赤子泣くとも蓋開けるな」の真意はここにありました。
お茶わん1杯分のごはんの分量
そもそも、ごはんをひとり分だけ炊くことはありませんので、分量などイメージできずとも無理はありません。
老若男女のちがい、茶わんの大きさにもよりますが、おおよその目安は下記のとおりです。
米のかさ | 米のおもさ | 茶わん | 食数 |
---|---|---|---|
0.5合 1/2カップ | 80g | 1杯強 | ひとり分 |
1合 1カップ | 160g | 2杯強 | ふたり分 |
1.5合 3/2カップ | 240g | 3杯強 | 三人分 |
2合 2カップ | 320g | 5杯弱 | 四人分 |
この手順のいいところは、グラム単位で炊飯できるところです。
米に対し1.4〜1.5倍の注水で炊飯すると、おもさは2.4〜2.5倍になることから、ごはんから逆算して米の量を求めることだってできます。
例えば、子ども用の茶わんにちょうど1杯分(144g)だけ炊くという場合。
お米+1.4倍の水=おもさ2.4倍のごはん
つまり、144gのごはんを炊きたければ、144÷2.4で60gのお米を準備すればいいのです。
糖質制限中の方や、介護食でひとり分の計量が必要といった場面でお役に立てるかと思います。
調理手順
必要な機器類は、ナイロンポリ製の真空袋とそれらをシールできる機器です。
フィルムが密着するような真空パックは必要ないので、チャンバー式・ノズル式・脱気溝式の真空パック機のいずれでも問題ありません。
ただし、逆止弁方式のハンディタイプの真空パック機は、袋のジッパー部の耐熱温度を超えるため使用できません。
加熱には95℃の設定が可能な低温調理器、または低温調理モードのある電気圧力鍋が必要です。
ガス火での加熱は、鍋肌に接した際に袋が溶ける可能性もあるためおすすめできません。
下処理
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必要な米を計量し、米のおもさの1.4倍の水を用意します。
例えば80gのお米なら、112mlの水です。
‐ | A.精白米 | B.洗米 | C.吸水米 |
---|---|---|---|
状態 | ふつうのお米 | 研いですぐにざるに上げた状態 | 20~40分浸してざるに上げた状態 |
おもさ | 80g | 88g | 112g |
一般的な水量の表現 | 研ぐ前の 1.40倍 | 研ぐ前の 1.27倍 | 洗米と 同量 |
水の量 | 112ml | 112ml | 112ml |
「人によって言うことがちがう」と困っている方もいらっしゃるでしょう。
じつは、必要な水の量はおなじでも、お米の状態で一般的な表現が変わります。
この辺りがなんとなくでも理解できれば、目盛りのない土鍋でもごはんが上手に炊けるようになります。
袋詰め
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洗米し、水切りしたお米と計量した水をナイロンポリ製の真空袋に入れます。
脱気密封
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チャンバー式の真空パックんシェフ2であれば右から2番めの「シールのみ」ボタンをタッチ。
7秒間だけ脱気動作した後にシール動作に移ります。
業務用の感覚では40~60%程度のゆるい真空度でしょう。
空気にふれている方がふっくらと炊けるため、袋が大きい場合はコンパクトなサイズにカットしてシールしてください。
その他の真空パック機でも、シールさえできれば利用OKです。
適度に空気が入っているほうがきれいに炊けます。
密封後は完全に吸水させるため、30分間は寝かせておきます。
加熱
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低温調理器、または温度設定のできる電気圧力鍋を使用して加熱します。
米と水が完全に沈み込んでしまうと、ちまきのような棒状の炊きあがりになってしまいます。
袋の上方1/3をカットしてシールするぐらいのサイズ感で適度に浮かんでくれます。
シンクウキッチンではシロカのおうちシェフPRO Mタイプのマニュアルモードをメインに使用しています。
一度に複数の袋を入れると、膨張した袋が水位を上げてしまい、熱湯があふれてしまうのでお気をつけください。
加熱温度 95℃/40分
※袋に入れての圧力調理は絶対に行わないでください。耐熱温度を超え袋が破損し、蒸気の流れをふさ大きな事故につながる恐れがあります。
炊きあがり
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炊きあがり時、袋がしっかりと膨張していればOKです。
袋の中は少しだけ圧力が高く、周囲より少しだけ高温になっています。
つまり、適正な水量が蒸気となって漏れることもなく、むらなく炊飯されたことを示しています。
開封しかるくほぐし、空気にふれさせることでごはんに艶が出ます。
袋で炊くひとり分のごはん:盛りつけ
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ポイントは下記の4点。
- 計量と吸水は確実に
- 空気を残したゆるくコンパクトな脱気密封
- 一度に複数袋つくらない
- 加熱終了後にほぐす
団子状・モサモサした感じが残る場合は、水分量が少ないか吸水が不完全である可能性が高く、加熱むらができる場合は、袋内でのかたよりが考えられます。
はじめちょろちょろ、中ぱっぱ
赤子泣くとも蓋開けるな
あの唄の真意は、吹きこぼれて赤子の泣き声のような音がしても、慌てて蓋を開けて蒸気を逃がすな、圧力を保て!ということなんでしょうかね?
あとは茶わんを洗うだけですよ。シン・ズボラ。
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