



低温調理器と真空パック機を使った牛丼の具の作り方です。
もちろん、ひとり分ずつパックしてストックすることも可能です。
帰宅時間の読めない家族の分、お子様の夜食、忙しい日のために作りおきしてはいかがでしょうか?
- ギトギトに浮かんだ脂
- ぼんやりうす味
- たまねぎジャリジャリ
- つゆがじゃぶじゃぶ
- がっちがちの牛肉
これらの失敗の要因は、調味料がうんぬんかんぬんではなく食材の下処理にあります。
安いお肉であればこそ、ポテンシャルを最大限に引き出すためのひと手間は欠かせないのです。
地味な牛丼の低温調理・真空調理|一次加熱の温度/時間


| 食材 | 大きさの目安 | 1人前 | 2人前 | 3人前 |
|---|---|---|---|---|
| 牛バラ | うす切り:4㎝ | 120g | 240g | 360g |
| たまねぎ | くし切り:1㎝ | 80g | 160g | 240g |
| 創味 すき焼きのたれ | 30ml | 60ml | 90ml | |
| 創味のつゆ | 10ml | 20ml | 30ml | |
| 水 | 40ml | 80ml | 120ml |
調味液量 40%
一次加熱 85℃/20分
調味液はあまからタイプの濃縮つゆ、創味 すき焼きのたれ、創味のつゆを使用します。
もちろん、ご贔屓にされているメーカーのすき焼きのたれなどで調理も可能です。
今回はどんぶりの具なので液量も多め。
調味液の総量は下処理した食材のおもさの40%を目安にします。
すき焼きのたれ:創味のつゆ:水の割合は3:1:4です。
濃縮つゆと水の割合は半々。
あまくちが好みならすき焼きのたれを増やし、キリッとさせたいなら創味のつゆを増やしてください。
シンクウキッチンでは調味液として濃縮つゆ、いわゆる『めんつゆ』を使用しています。
その理由や分類・特徴についてはこちらをご覧ください。
関連記事:低温調理・真空調理の味付け|濃縮つゆのおすすめ4選
地味な牛丼の低温調理・真空調理の手順
大まかには、たまねぎと牛肉をそれぞれ別の温度で下処理しておき、脱気密封した袋の中で味つけするという流れです。
下処理
ポイントは牛バラとたまねぎの下処理温度の違いです。
たまねぎの下処理


まず、たまねぎを下ゆでします。
袋詰めした後では、お肉の食感を優先して85℃以下で加熱します。
そのため、たまねぎはこの段階でベストに近いかたさまで仕上げます。

下ゆで後は冷水で冷まし、サラダスピナーで切片やすきまに付着する水分を脱水します。

果菜・葉茎菜・根菜の種類にもよりますが、野菜はゆでても水っぽくなっているわけではありません。
切片やすき間に付着する水がそう感じさせているだけで、サラダスピナーなどを使って遠心力で脱水してみると、下ゆで前後のおもさは同じか、むしろ少し減りさえしています。
また、手で絞ると均一にしぼれないばかりか、組織までつぶれてしまうため、野菜そのものが内包する水分まで圧搾してしまいます。
この「野菜そのものが内包する水分」が真空調理の鍵を握っており、通常よりも濃い調味液を用意する理由がここにあるのです。
シンクウキッチンでは、ケユカのフォーウェイサラダスピナーⅡを使用しています。
牛バラの下処理

続いて、牛バラを下ゆでします。
たまねぎを下ゆでした鍋でかまいません。さし水をして水温を70℃付近まで下げます。
牛バラを入れたら優しくほぐす程度にして、70℃に近づくように加熱します。
70℃で下ゆでする根拠は次のとおりです。
牛肉の加熱温度と脱水量の関係です。

まず、肉の重量は50℃までに脂やドリップの溶出などで、加熱前のおよそ80%近くにまで減少しています。
目には見えませんが、50℃付近で筋原線維たんぱく質のミオシンが変性をはじめ、65℃付近までにアクチンに結びついたものはアクトミオシンに変化し、ゲルの網目状の構造をゆっくり形成していきます。
続いて、65℃付近で肉基質たんぱく質のコラーゲンがインパクト的に収縮し、重量はがくんと70%弱近くにまで減り、これらと連動するように、筋漿たんぱく質のミオグロビンが変性し、60℃~70℃で色はうすいピンクから灰褐色へと変化します。


また、65℃付近を境にもうひとつの筋原線維たんぱく質のアクチンも変性を開始します。
ゲル化により形成された網目構造はさらに大きなかたまりへと変化していき、食感はかたくぼそぼそした方向へ傾いていきます。
肉基質たんぱく質のコラーゲンの収縮は75℃付近まで続き、少し遅れて80℃付近で脱水量がピークを迎え、以降は脂肪分の脱離などでわずかに減っていくというイメージです。
ここで肉基質たんぱく質のコラーゲンは軟化に転じ、水とともに加熱することで温度と時間に応じて徐々にゼラチン化していきます。
- ~60℃
- びちゃびちゃのタオルを軽くたたんだ状態
- 65℃前後
- 両手を添えてしぼりはじめた状態
- 70℃~80℃
- 持ちかえてぎゅう~としぼりあげる状態
- 80℃~
- しぼりきってポタポタとしか水が落ちない状態

65℃ではまだ脂や水分も多く、真空調理においては全体の味がぼやけた印象になるなどの不具合もあります。
つまり、余分なアクや脂を落としつつも、うま味はできるだけ残し、食感も大きく損なっていないのが70℃付近です。
また、70℃ではほとんどの生菌が死滅し、初発菌数をかなりおさえることができる温度でもあります。
だからこそ、食材そのものが保有する水分も必要な真空調理・低温調理において、煮ものなどでスライスの肉を使用する場合、70℃がベストな下処理温度だと考えています。
70℃に到達したらバットに取り、空冷で冷まします。
バットにキッチンペーパーなどを敷いて余分な水分を吸収させます。
下処理食材の混合

下処理した食材が冷めたら、混合します。

ここまでが下処理の工程です。
袋詰めと計量

下処理した食材を袋詰めします。
- シールする部分を汚さない
- 折り返しのラクなチューブタイプ、クリロン化成㈱のシグマチューブ60がおすすめ
サイズは横160×縦260~横200×縦300あたりが使い勝手もよくおすすめです。 - 詰め込みすぎに注意
関連記事:低温調理・真空調理に使う袋の選び方
調味液の投入

調味液は創味 すき焼きのたれと創味のつゆをブレンドして使用します。
総量は下処理後のおもさの40%を目安に、濃縮つゆと水が半々になるように希釈します。
例えば、袋詰めした食材が200gの場合、(すき焼きのたれ30ml:創味のつゆ10ml:水40ml)で80mlの調味液です。
キリッとからくち派は創味のつゆを増やし、あまくち派はすき焼きのたれを増やします。
うすくち派なら水を増やしてください。
食材からも水分が出るため、40%でも結構つゆは多めです。
この辺りの加減は好みによりけりなので、楽しみながら調整してください。

濃縮つゆ・めんつゆの希釈は何かと面倒です。
よかったらコチラの計算フォームを使ってください。
脱気密封

チャンバー式真空パック機で真空パックします。

日々のメンテナンスは拭きそうじぐらいなので、これまでの真空パック機に比べると使い勝手はラクです。
関連記事:【家庭向けチャンバー式真空パック機・真空パックんシェフ2をレビュー】専用袋いらずで液体も粉末もOK
脱気密封の精度は少しだけ劣り、メンテナンスにも手間はかかりますが、ノズル式真空パック機でも可能です。
ノズル式では、こちらがおすすめです。
家庭向け真空パック機選びに迷ったら、こちらをご覧ください。
一次加熱と冷却

低温調理器、または温度コントロールができる電気圧力鍋で加熱します。
シンクウキッチンではシロカのおうちシェフPRO Mタイプを使用しています。

一次加熱 85℃/20分


すぐに食べる場合はここで調理完了です。

すぐに食べない場合は加熱終了後30分以内に冷却を開始。
90分以内に3℃以下に。

二次加熱

後日、食べる直前の加熱が二次加熱です。
基本的には一次加熱と同設定ですが、目的は衛生面を考慮した中心温度75℃/1分間以上の加熱です。
- 加熱後2時間以内に食べきり
- 再保存は不可
- 電子レンジは加熱むらに注意
地味な牛丼の低温調理・真空調理|盛りつけ


牛丼には牛バラ(ショートプレート)、すき焼き用などの長いスライスがあれば最適です。
店頭に無い場合は、部位もサイズもまちまちなこま切れよりも、部位は定まっている切り落としのほうが使いやすいでしょう。
おいしく仕上げるポイントは、必要最低限の水分量と、食材それぞれの下処理温度。
温度ごとの食材の変性が理解できてくると、料理の見方もずいぶん変わってくるでしょう。
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