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【楽ちんおせち】低温調理で宝石のような黒豆をかんたんに煮る方法

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低温調理器を使用すれば、誰でもかんたんに黒豆を煮ることができます。

  • 大半の時間はほったらかしでOK
  • 火加減を気にする必要なし
  • 最短でもどし2時間+加熱4~6時間の半日コース
    ※ひと晩寝かせるとより色つやよく仕上がります
  • ひとり分からでも調理可能

ひとり分⁉
そう、具体的には乾燥した豆20g、およそ40粒からでも調理可能なんです。

袋に材料を入れたらスタートさせるだけなので、料理のうでまえなんてつぎです。
先人たちの試行錯誤しこうさくご敬意けいいを払いつつ、楽して黒豆を煮てみましょう。

黒豆を黒く煮るためにとても重要な3つのこと

手順はまだかとせっつく前に、大前提を3点だけ。

黒豆の蜜煮(みつに)と甘煮(あまに)は別もの

まずはじめに。
おせちのパンフレットのような漆黒の黒豆は、ほぼ「黒豆の蜜煮みつに」です。

還元鉄かんげんてつ重曹じゅうそうをふんだんに使い、それを抜く水さらしなどの手間をかけつつ、数日かけて少しずつ糖度を上げながらシロップに漬け込む料理方法です。

青を塗りかさねたような深海のような黒が特徴で、それは家庭で作る「黒豆の甘煮あまに」とは一線いっせんかくするものです。

今回シンクウキッチンで紹介するのは「黒豆の甘煮あまに」。
その色合いは深い赤紫の黒。

シンクウキッチンで紹介する手順は、「家庭でかんたんに黒豆を煮る方法は無いものか」と15年も試行錯誤を重ねられた料理研究家・土井勝どいまさる先生のレシピから着想をいただき、低温調理にアレンジしたものです。

言うほど簡単ではない黒豆を黒く煮る方法、その鍵を握っていたのは鉄とわずかの重曹でした。

黒豆レシピに書かれていない鉄の盲点

黒豆の黒は色素アントシアニンによるもので、鉄と反応してうんぬんかんぬん・・・

それはまぁそうなんですが、問題はその先。
鉄を入れても赤茶色になるのはどうすりゃいいのよ⁉という問題です。

原因はずばり長時間の加熱によるもの。
錯体さくたいを形成したアントシアニンでさえも、時間に耐えられなかった状況だと考えられます。

土井勝どいまさる先生が提唱ていしょうされた60~70℃程度の水温でもどす方法では、アントシアニンが溶けはじめるのも早く、豆を投入して数分後には色素が溶けだしはじめます。

そのため、なるべく黒豆の液胞えきほうから色素が溶けだす前に反応させ、色を抜けにくくする必要があるのです。

つまり、豆を投入する前に水中で鉄が十分にイオン化していなければならないのです。

「退色しても冷めていくうちに色素が染み込んでいく」とも言われますが、いくらか限度もあります。

初手から十分な鉄イオンを得るには、南部鉄器のような鉄鍋などを使い、鉄の量でカバーするか、スチールウールなど極めて酸化しやすい鉄の質でカバーするか、といった視点も必要なのです。

その点、赤さび(=すでに酸化した鉄)は鉄が自然界に存在するふつうの姿でもあり、すばやくイオン化して水に溶け込むことができます。
アントシアニンと錯体を形成させるには、じつに効率のいい方法だったのです。

鉄なら何でもいいという訳ではなく、先人がわざわざ「よくさびた・・・・・釘」と注釈をつけたのは、こんな意味があったのです。

鉄製の釘はホームセンターで100円も出せば、黒豆に一生使えるだけの量が手に入ります。

年末に向け、さびの状態を整えておくのも一考いっこうですね。

見落としていた重曹の効果

レシピによって重曹を入れたり入れなかったり、いったい何が正解なのか解らなくなりませんか?

シンクウキッチンで試行錯誤の末に行き着いた答えは「ごく少量入れる」です。

重曹には早煮はやにとアク抜きの効果があることはよく知られていますが、どうやら先人の知恵はもっと別の効果を狙ったものだったようです。

重曹は、常温の水ではおよそ8.0%(pH8.2の弱アルカリ性)で飽和し、それ以上は水に溶け込めません。
加熱すると炭酸ナトリウム+二酸化炭素+水に分解され、その水溶液はpH11.2のアルカリ性へと変化してしまいます。

アントシアニンという色素は熱に弱く、しかもアルカリにおいては不安定です。
さらに重曹には苦味もあり、黒豆を煮るにはあまりにもデメリットが目立ちます。

それでもなお、先人たちがレシピに重曹を書き残した理由とは?

どうやらごく少量の重曹と鉄を併用した場合、アントシアニンの加熱耐性を上げ、色度が強調され、よりつややかに仕上がる効果があるようなのです。

土井勝先生のレシピによると、水2000mlに対し重曹2.5g(小さじ1/2)。
その濃度はわずか0.125%で、山菜のアク抜きなどに用いる程度の量です。

これは、日本料理の伝統的な「黒豆の蜜煮」などの煮豆がおよそ1.0%使用することと比較すれば、圧倒的に少ない量だといえます。

なぜか?

シンクウキッチンでの考察は、それが水さらしで重曹を抜く伝統的な工程を省略しながらも、きれいな黒色を引き出すための絶妙な量であったのではないかと考えています。

下の画像を見ていただけれ一目瞭然ですが、黒豆をもどすとき重曹だけでは赤に(左)。
よくさびた鉄くぎだけを入れると青よりの紫に(中)。
よくさびた鉄くぎと重曹の両方を入れると、より黒に近い水溶液(右)が出現します。
※60℃の水だけの場合、ごく薄い赤になります。

いずれも水温60℃もどし、左:重曹ひとつまみ 、中:よくさびた鉄くぎ、 右:よくさびた鉄くぎ+重曹ひとつまみ

つまり、鉄と重曹のどちらかではなく、どちらとも・・・・・が必要だったのです。

ぜひ、今年の黒豆を煮る際の参考にしてください。

黒豆の低温調理|食材一覧

黒豆の謎がスッキリしたところで、調理に移りましょう。

食材備考1人前2人前3人前
黒豆乾燥豆のおもさ20g40g60g
50ml100ml150ml
グラニュー糖20g40g60g
ひとさし指と親指で軽くつまむ程度1つまみ2つまみ3つまみ
重曹同上1つまみ2つまみ3つまみ
よくさびた鉄くぎ1本6~7㎝:5~7g
※1~3人前につき1本ほど
1本1本1本

黒豆の甘煮の低温調理|手順

ざっくりまとめると、調味液も一緒に袋に入れ、60℃/2時間でもどし、95℃/4時間もしくは90℃/6時間で加熱します。

重曹を加熱することで炭酸ガス(二酸化炭素)が発生するため、真空調理に重曹はご法度はっとです。

真空調理で仕上げるには

真空調理で仕上げる場合、安全面から重曹抜きで調理してください。

そのため、残念ながら重曹ありの場合よりも赤茶色によってしまいます。

また、チャンバー式真空パック機では、黒豆の持つサポニンの発泡作用で吹きこぼれる可能性が高く、うまく脱気密封できません。

一旦できあがった黒豆を冷却し、真空パックしてもう一度殺菌を目的とした加熱後に冷却してください。

黒豆をもどす

切腹を連想させる「胴割どうわれ」「腹割はらわれ」という一文字に皮が裂ける状態は、縁起ものにはふさわしくありません。

皮と内部の吸水速度の違いで起こる現象で、それを最も低く抑えることができるのが温水による戻し方です。

研究によると60℃の水温で2時間もどすと最も裂皮率れっぴりつを抑えることができるとされています。

つまり、土井勝先生のレシピの「いったん沸かした湯に調味料と乾燥豆を入れる」というのは、調理科学的にも理にかなっていることがわかります。

  1. 低温調理器は60℃にセットしておく
  2. 別途、60℃程度のお湯を用意する
  3. よくさびた鉄くぎをかるく水洗いし、拭いておく
  4. 黒豆は直前にやさしく・かるく水洗いしザルにあげておく
  5. ポリ袋・または真空袋に分量の調味料と60℃の水を入れる
  6. 黒豆、重曹、よくさびた鉄くぎを袋に入れる
  7. 水圧で脱気しながら沈め、コンテナのふちにクリップなどで固定する
    注:気体を逃がすため密封はしない
  8. 低温調理器を2時間に設定しもどし加熱開始

黒豆を煮る

もどしが終われば、いよいよ黒豆を煮ていきます。
とは言え基本的に温度と時間を設定するだけで、ほったらかしでOKです。

ちなみに、もどしから加熱に移るまでのあいだ、いったん冷却をはさんでもOKです。
前日の晩にもどして冷却、次の日に加熱と工程を分けてかまいません。

締まってかたくなるということもなく、むしろもっちりとした食感が増すので、慌てて1日で仕上げなくても大丈夫です。

低温調理器の上限温度は機種ごとに違います。
95℃/4時間、もしくは90℃/6時間で設定してください。

気体を抜くため袋の口は閉じないように、深鍋やコンテナの保温効率を高め、無駄なエネルギーを省きましょう。

ガス火で炊くほどに煮詰まることはありません。
袋の中に伝わる熱は対流熱ではなく伝導伝熱であるため、皮の破れも最小限です。

ちなみに、鉄の釘は加熱終了まで入れたままにしてください。

念のため、黒豆にしわがよってしまう主な要因2つを抑えておきましょう。

豆の内外に温度差がある

加熱中、重曹由来ゆらいの炭酸ガス(二酸化炭素)が発生するため、密封していると袋が浮かんでしまいます。
調味液がかたむき豆が浮く原因になるので、気体を逃がせるように固定してください。

豆が煮汁から浮いてしまうと、冷やされた表層がしぼみしわがよってしまいます。

煮汁に漬けて再加熱すると元に戻り、煮汁ごと冷ますことでしわのない状態を長くキープすることができます。

浸透圧しんとうあつの差によるもの

豆の皮を介し、糖度の低い方から高い方へ水分が移動します。

先に水で豆を戻し、煮た後で砂糖を入れるといった手順の場合、徐々に糖度をあげなければ浸透圧の差でしわがよってしまいます。

糖度の高い伝統的な「黒豆の蜜煮」では細心の注意を払う必要がありますが、糖度の低い家庭的な「黒豆の甘煮」ではそれほど気にする必要はないと思います。

完成:低温調理で仕上げる黒豆の甘煮

加熱終了直後は若干赤みを帯びた黒ですが、冷却して半日ほどすると深みのある黒に落ち着きます。

材料をそろえたら時間と温度を設定するだけ。
かんたんに宝玉ブラックオニキスのような黒豆の甘煮ができあがりますよ。

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