家庭向け真空パック機でおなじみの真空パックんシリーズの最上位機種『真空パックんシェフ2』の実機レビューです。
レビューは『真空パックんシェフ2』ですが、後発で『真空パックんシェフ2plus(プラス)』が発売されました。
シェフ2とシェフ2plus(プラス)の違いは奥行きのサイズ。
庫内が縦に伸びたことで、より大きなサイズの真空袋が使えるようになりました。
搭載されているポンプや基本的な性能には変わりはありませんが、価格差たった3,000円でサイズアップされ、公式特典も充実。
今から購入されるのであれば、迷わず『真空パックんシェフ2PLUS(プラス)』がおすすめです。
家庭向け真空パック機の4つのタイプ
真空パックんシェフ2はチャンバー式と呼ばれる脱気密封方式です。
チャンバー式の最大の特徴は、液体・乾物・油脂に粉末と、あらゆる食材・食品の脱気密封が安定していることです。
しかし、使われている真空ポンプの違いから耐久性や処理能力は劣るものの、パックの仕上がりは業務用水準。
家庭向け真空パック機の中では数少ないほんとうの真空パック機です。
ここで、真空パック機について少し深堀りしてみましょう。
まず、家庭向け真空パック機には4つの脱気方式があります。
そして、ほとんどの家庭向け真空パック機は、液体のパックが不安定です。
ウェット対応とあるにも関わらず、シールされる部分は濡らさないでくださいと併記されるものもあり、どうにもスッキリしない歯切れの悪さを感じます。
家庭向け真空パック機の4つの脱気方式とは、以下のとおりです。
- 逆止弁式
- 逆止弁のついた専用の袋でハンディポンプを使う方式
- 脱気溝式
- 溝形の脱気口で袋内の空気を吸い出す方式
- ノズル式
- 板状のノズルで袋内から吸い出す方式
- チャンバー式
- ボックスごと脱気し、真空(減圧)空間でシールする方式
一般的に認知されている家庭向け真空パック機は、ほぼ脱気溝式です。
見分けるポイントは、機体の中央部の溝とそれを囲む黒い楕円形のパッキン、そしてエンボス(凹凸)加工された専用の袋を必要とする点です。
脱気溝式はシンプルな構造のため小型化しやすく、コンパクトなものからロールが内蔵できる据置タイプまで幅広い機種があります。
4つの脱気方式それぞれには以下の特徴があります。
(ドライポンプ) チャンバー式 | ノズル式 | 脱気溝式 | 逆止弁式 | |
代表機種 | 真空パックんシェフ2 | フードシールドJP290シリーズ | 真空パックんPREMIUM フードセーバー | 真空パックんコードレス フードセーバーポータブル |
脱気力 | ◎ | ○ | ○~△ | △ |
専用袋 | いらない | いらない | いる | いる |
乾物 | ◎ | 〇 | ○ | △ |
液体 | ◎ | ○ | ✕ | △ |
粉末 | ◎ | 〇 | ✕ | ✕ |
油脂 | ◎ | 〇 | ✕ | ✕ |
メンテナンス | ◎ | △ | ○ | △ |
ホット | ✕ | ✕ | ✕ | ✕ |
目安価格 | 56,800円〜 | 15,000〜20,000円 | 5,000〜20,000円 | 1,000〜2,000円 |
家庭向け真空パック機の特徴
真空パックの大きな誤解
真空パックで誤解されがちなポイントを押さえておきましょう。
そもそも真空パックするってどういうこと?
何気なくぴったりと気泡がない様子を「真空パックする」と表現していますが、正しくは「チャンバー式の真空包装機を使って脱気密封する」という一連の動作です。
動作の目的は脱気密封であって、その手段として吸引や真空の仕組みを利用しているに過ぎません。
- 登山に持参したスナック菓子の袋が、山頂付近でパンパンにふくらむ
- 山頂でキャップを締めたペットボトルのドリンクが、下山するとベッコリと凹んでいる
山登りで経験するこれに似た現象がチャンバー内で起こっているのです。
真空についても、少し掘り下げましょう。
空気が全く存在しない宇宙空間もたしかに真空ですが、ヒトが造りだす真空の意味合いは、それとは少し異なります。
JIS(日本産業規格)で定義される真空とは、空気が全くない状態ではなく、標準気圧(101.325kPa)以下の減圧された特定の空間をさします。
チャンバー式真空パック機とは、減圧・加圧することで膨張・収縮する気体の性質を利用しているのです。
ちなみに、標準気圧(101.325kPa=1気圧)を起点とするのがゲージ圧、絶対真空(0Pa)を起点とするのが絶対圧力です。
圧力鍋や真空パック機などの一般的な工業製品の単位では、kPaや1気圧のゲージ圧が用いられます。
標準気圧を起点とした負圧としてマイナスを付けたり、差圧としてマイナスが付かなかったり混乱しがちなので気をつけてください。
業務用ではパワーのある油回転式のオイルポンプが使用されますが、家庭向けの多くには小型で密閉構造のドライポンプが使われています。
業務用真空包装機のNo.1と言えば、㈱TOSEIのTOSPACKシリーズ。
到達真空度は99.8%、ボックス内はもうすぐ宇宙というレベルの脱気密封です。
その他にも、連続運転・容量・耐久性など、あらゆる面で家庭向けとはけたが違います。
ちなみに、真空パックんシェフ2の真空度は最大94.9kPa、到達真空度にすると93.7%ということになります。
エベレストよりもずっと高い、上空20000m~25000mに相当する気圧です。
家庭向け真空パック機の真空とは?
つまり、チャンバー式以外の3つの方式は単純に袋内の空気を吸引しているだけで、真空(減圧)の特性を利用してはいません。
※キャニスターを接続することで、外部に減圧空間を作れる機種もあります
単なる吸引なので、どうしても食材内部や切片のすき間の空気が残り、チャンバー式に比べると脱気密封の精度は劣ります。
何より、袋内は真空(減圧)にならないので、脱気力が必ずしも真空度合いを示すわけではありません。
ただし、チャンバー式であろうとその他の方式であろうと、できあがる袋は空気のとても少ないパックだという点に変わりはありません。
だからこそ、真空(減圧)はあくまでも手段であり、目的は脱気密封なのです。
専用袋不要ってどういうこと?
チャンバー式真空パック機で使用する袋は、業務用では一般的なナイロンポリ製の真空袋と呼ばれるものです。
熱シールしやすいポリエチレン(PE)と、気体透過性の小さいナイロン(PA)の多層構造の袋です。
※性質上、ナイロン(PA)のみでは袋が製造できません。
これに空気の通り道となるエンボス(凹凸)加工を施したものが、脱気溝式真空パック機の専用袋と呼ばれています。
そのため、ポリエチレンのみで作られたいわゆるふつうのポリ袋では、数日もたてば脱気密封はゆるんでしまいます。
ちなみに水は通しませんし、シールもできます。
用途によってはこれで十分という場合も多々あるでしょう。
脱気密封がゆるむ原因はシール不良だけではなく、ポリエチレンを気体分子が通過してしまっているというケースもあるのです。
つまり、専用袋不要という表現は、エンボス加工がいらないだけで、どんな袋でも長くパックできるということではありません。
「ナイロンポリ製の真空袋なら、だいたい使える」という意味です。
真空パックの袋の中は真空?
いかなる方式で脱気密封しても、できあがった袋の中は今そこにいる場所の気圧(標準気圧101.325kPa)です。
チャンバー式で真空パックしたとしても、袋の中までを減圧にとどめておくことはできません。
真空(減圧)下で保存するには、専用キャニスターなど、逆止弁のついたボックス状の容器が必要です。
真空パックだから安全?
もちろん、到達真空度は食材・食品の酸化値に影響します。
しかし、だからといって真空パックされているから安全というわけではありません。
反対に、気泡や真空漏れがあるから必ず食中毒になるというわけでもありません。
問題は、食中毒原因微生物に汚染され、それらが増殖しているかどうかです。
食中毒原因微生物が増殖するために必要なのは、温度×栄養×自由水※であり、酸素の有無は必ずしも生存条件とは限らないのです。
※自由水=細菌が活動するために利用できる水分
たしかに、精度高く真空パックできれば酸化を遅らせることができますが、パックする前にすでに食中毒原因微生物に汚染されていた場合、食中毒リスクが下がることはありません。
真空パックの真の脅威は、真空パックされた状態でしか増殖せず、脱気密封後の加熱にも耐えうる者たち。
偏性嫌気性の芽胞形成菌です。
その代表格が、セレウス菌・ウェルシュ菌・ボツリヌス菌です。
※セレウス菌は通性嫌気性
中でも、ボツリヌス菌の産生するボツリヌス毒素は、自然界最凶レベルの毒性を持ちます。
腐敗しているから食中毒になる?
食材成分が空気中の酸素と結合し、その性質を変えることを酸化、逆に酸素と切り離されることを還元といいます。
これとは別の現象として、微生物による有機物の分解でも食材の味やにおい・手触りに変化が起きます。
一般的に人間にとって好ましい場合は発酵、好ましくない場合は腐敗と呼ばれます。
食中毒とは、酸化・還元、発酵・腐敗とはまた別の現象で、食中毒の原因となる物質や微生物、および産生される毒素などに汚染された食材・食品を食べることで引き起こされる中毒症状の総称です。
食中毒原因は基本的に無味無臭であり、食材鮮度の良し悪しとも関係しません。
つまり、腐敗している食材・食品を食べたとしても必ず体調不良を引き起こすというわけではありませんが、どんなに採れたて新鮮でも、食中毒原因物質・微生物に高濃度で汚染されていれば症状を引き起こしかねないということです。
味やにおい・手触りに変化がないからといって、安心安全とは言えないのです。
そして、食中毒原因微生物には潜伏期間があり、発症に至るには個人の免疫力や体調・体質も関係するため、集団的なものでない限り特定は困難です。
真空パックを過信せず、食材はなるべく早く消費するという基本は変わりません。
真空パックんシェフ2の外観・付属品
公式サイトからの購入であれば、配送業者は日本郵便が担当されます。
![](https://vacuum-kitchen.com/wp-content/uploads/2022/08/IMG_20230206_193001.jpg)
本体の箱+配送用段ボールの2重箱で、荷造りはとてもていねいです。
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- 本体
- 取扱説明書(保証書兼)
- 納品書
- シグマチューブ70(100枚入)(公式サイト「暮らしの幸便」からの購入限定)
![](https://vacuum-kitchen.com/wp-content/uploads/2022/08/IMG_20230207_032636.jpg)
公式である㈱ワイドシステムの運営する通販サービス「暮らしの幸便」から購入すれば、真空袋シグマチューブ70(100枚入り)が特典としてついてきます。
業務用でも使用される一般的な0.07mm=70μ(ミクロン)の厚みで、底辺のみがシールしてあるチューブタイプです。
サイズは横18㎝×縦28㎝、鶏もも肉なら2枚ぐらいがギリギリ入ります。
通販などでよく見かける「彊美人」シリーズも同社の製品ですが、どちらかといえば見栄えを重視した商品パッケージ向けです。
こちらは両サイドと底辺がシールされている三方シールタイプです。
低温調理・真空調理など仕込み作業や保存用には、折り返しのかんたんなチューブタイプがおすすめです。
![](https://vacuum-kitchen.com/wp-content/plugins/pochipp/assets/img/pochipp-logo-t1.png)
個人で100枚単位で購入するとなると、1,400円前後の高機能な袋なので、おまけとしては十分。
かなりお得です。
シグマチューブには0.06mm=60μ(ミクロン)のシグマチューブ60のシリーズもあります。
見た目のクリア感は劣るものの、強度を維持しつつコストを抑えたい場合はおすすめです。
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電源コードの長さは1.8m。アース線はありません。
単相100VのふつうのコンセントでOKです。
大きさはB3サイズ。
一般的なノートを開いたぐらいの面積です。
コンセントのとれる標準的なキッチンボード・カップボードであれば、据え置きしても違和感はありません。
本体高さは20㎝、ふたを90度開くと45㎝ほどの高さ、重さは8.5㎏です。
電源スイッチは背面にあります。
![](https://vacuum-kitchen.com/wp-content/uploads/2022/08/IMG_20230211_155755.jpg)
真空パックんシェフ2の基本操作
基本的な操作は真空袋に食材を入れ、シール部分をヒーターブロック上にのせます。
袋をとめる金具は、袋の下側のフィルム1枚だけはさんで使用します。
袋の口がしわにならないようにのばし、チャンバーのふたをゆっくり閉じます。
あとは「脱気→シール」、または「シールのみ」・「マリネ」のいずれかをタッチするだけです。
脱気→シール | 15~60秒の脱気のあとシール |
シールのみ | 7秒間の脱気のあとシール |
マリネ | 60秒の脱気のみ |
乾燥してひび割れたゆび先ではすこし反応がにぶくなります。
シール部分が汚れすぎると溶着不良の原因になるので、真空袋に食材を入れるときは、開口部を折り返しておくときれいにシールできます。
シール動作の初期設定は4秒です。
標準的な0.06~0.07mmの真空袋は、4秒で問題ありません。
シール後、両手で引っ張ってみて簡単に開くようであれば溶着不足です。
シール時間を1秒ずつ伸ばすか、袋の厚みを変えるなどの対応が必要です。
逆にシール部が溶け、穴が開くようであれば過加熱です。
シール時間を1~2秒縮めるか、ヒーターブロックのテフロンテープ(茶色のシール)に破損があるのかも知れません。
ちなみに、茶色いテフロンテープは剥がさず使用します。
万が一剥がしてしまった場合は、公式サイトで交換用のシールを購入できます。
下記のリンクからメール便対応で送料無料で手配できます。
![](https://www19.a8.net/0.gif?a8mat=3N8HFE+230PBE+2TTU+HUKPU)
![](https://vacuum-kitchen.com/wp-content/uploads/2022/08/IMG_20230212_165012-800x450.jpg)
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駆動音は寝た子が起きる程度にはします。
近くの部屋で家族が就寝中であれば、深夜のパック作業は厳しいでしょう。
お得な大容量パックの小分けも期待どおりです。
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動作間は60秒のカウントダウンが強制的に入り、連続運転できない仕様になっています。
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粉末の真空パックもかんたんです。
チャンバー内で粉が舞うようなこともありません。
カッチカチで逆に扱いにくい!という場合は、途中で「シールのみ」をタッチしてシール動作にジャンプしてください。
メーターが「9」あたりでタッチするといい感じになりますよ。
ちょうどホットケーキミックスの小袋のような、ちょっとゆるめのパックになるので試してみてください。
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お米の真空パックも画像のようにガッチガチのピッチピチにすることができます。
とはいえ、こちらもやりすぎは逆効果。
米同士の割れや収納時のピンホールなど不便さも出てきます。
「シールのみ」でジャンプしてゆるめにパックし、冷蔵庫で保存するのがベターです。
さらに詳しい使用例についてはこちらから。
他にも、使い方はいろいろ。
低温調理器と組み合わせると、おかゆの真空調理も可能です。
関連記事:【自宅介護の役に立つ】毎回ひとり分のおかゆを真空調理・低温調理で炊く方法
チャンバー式真空パック機の最後のプシュ~という音は、袋の中の空気が吸い出される音ではありません。
あの音はチャンバー内に空気が流れ込んでいる音で、チャンバー内が真空(減圧)から常圧へと戻っているときの音です。
真空パックんシェフ2でできること・できないこと
できること
単純な食材のパックだけでなく、アレンジでこんな使い方も。
真空調理・低温調理
下処理した食材と調味液を真空パックして低温調理器で加熱する、真空調理・低温調理が可能です。
当サイト『シンクウキッチン』では、家庭向けの機器で可能な真空調理・低温調理レシピを紹介しています。
マリネ機能で短時間で下味つけ
鶏のからあげや豚の生姜焼きなど、ほんの数分もあれば下味をつけることができます。
減圧下では食材内部の空気や水分も膨張しようする力がはたらくため、食材の組織間に動きが出ます。
逆に減圧状態から標準気圧まで加圧されるときは、食材内部の水分や空気は収縮しようとする力がはたらきます。
これを利用し、調味液とともに減圧と加圧をくり返すと、なかば強制的に調味液を浸潤させることが可能となるのです。
脱気溝式やノズル式では袋内の気圧の変化は起こらないため、単純な漬け込みと効果は変わりません。
キャニスターを接続すれば可能ですが、到達真空度が低いので効果もそれなりです。
その点、チャンバー式の本機のマリネ機能の効果は絶大です。
この機能こそ真空調理・低温調理の真骨頂と言っても過言ではありません。
1分間のマリネモード✕3セットもすれば、ひと晩漬け込んだような下あじをつけることが可能です。
冷凍焼け防止
脱気密封しておくと、冷凍焼け(昇華)を大幅に遅らせることができます。
冷気による乾燥で食材水分が蒸発し、小さく空洞化した状態が冷凍焼け(昇華)です。
食感も風味も悪くなり、うまく解凍できない場合もあります。
脱気密封することで、冷気による乾燥を防げるため冷凍焼け(昇華)を遅らせることができるのです。
また、解凍時はパックごと流水にあてることができるので、すばやく食材の準備ができます。
弱い出力でのレンジ解凍と組み合わせると、ほんの数分で絶妙な半解凍の状態にできます。
トレーごと真空パック
真空パックんシェフ2のチャンバーは横長の長方形であるため、業務用の真空袋ではなかなかサイズが合いません。
脱気溝式の専用ロールを使用すると、買ってきたお肉をトレーごと真空パックすることもできます。
![](https://vacuum-kitchen.com/wp-content/uploads/2022/08/IMG_20230509_072745.jpg)
エンボス加工された脱気溝式の専用ロールであれば、縦の長さを任意にカットできるため、ジャストサイズに合わせることも難しくありません。
真空パック+冷凍で冷凍焼け(昇華)も防げ、解凍時は流水で解凍できます。
ただし、底の部分までドリップは廻ってしまうため、解凍後に周囲を汚さずに取り出すことは難しいでしょう。
状態良く保存できるため、少ない買いもの回数でも食材に追われることが減らせるでしょう。
横幅28cmまでシール可能であるため、一般的なトレーサイズはあらかたパックすることができます。
もちろん、エンボス加工のない真空袋でも、短いほうの横幅を「シールのみ」でとめ、長い縦方向をカットすれば横長の袋状にできます。
細長いとうもろこしや、節で焼かれたカツオのたたき、刺身の柵などはこれで難なく対応できます。
ゆるい脱気密封
脱気が強すぎると割れてしまうクッキーやかぼちゃの煮ものなどのパックには、ゆるめの脱気密封も可能です。
(脱気→シール)と(シールのみ)ボタンがあります。
(シールのみ)の場合、7秒間の脱気動作のあとにシールが行われます。
(脱気→シール)の場合でも、目盛り7以降の任意のタイミングで(シールのみ)を押すことで、脱気工程をジャンプしてシールに移ることができます。
やわらかいパンや、割れやすいクッキーなどの保存には、脱酸素剤を入れてゆるめの真空パックをかけるという業者のようなテクニックも可能です。
できないこと
保証の対象外になる故障の可能性もあるため、付属のパンフレットや取扱説明書はすべて目を通しましょう。
連続運転はできない
動作間は強制的に60秒のカウントダウンが入ります。
注意書きのパンフレットあり、連続運転による故障への注意喚起は特に念押しされています。
1時間以上の連続使用による故障は保証の対象外になるなどの厳しいルールもあります。
小さなドライポンプでチャンバー全体を毎回脱気するため、ポンプやモーターにはそれなりの負荷がかかります。
作業は休ませながら1時間までを目安に、内部温度の上昇に気を付けて使用しましょう。
業務用の感覚でガンガン回すと壊れますので、業務用途の使用は禁止です。
ホットパックはできない
家庭向けの本機は、ホットパックはできません。
常温以下に冷ましてからパックしてください。
これは業務用の真空包装機にも言えることですが、ホットパック可能と記載されていたとしても用途はかなり限定的です。
なぜなら、作動しないというわけではありませんが、心臓部である真空ポンプへの負荷が大きく、劣化を早めてしまうからです。
まず、衛生面の観点からホットパックは中心温度65℃以上であることが大前提です。
10~60℃の危険温度帯付近でのホットパックは、真空度も低くなり、重大な食品衛生事故につながるため危険です。
さらに、鶏のてりやきやローストビーフのような個体のホットパックは、表層と中心の温度差が大きすぎるため、業務用のホットパック対応機でさえ推奨できるものではありません。
チャンバー内では次のような現象が起こっています。
温度に関わらず、自然界の水は絶えず気化しようとしていますが、はるか上空から気圧によって押さえつけられています。
気圧が下がるということは、このおもりが取れるようなものであり、気化しやすい状態になります。
さらに沸点も下がるため、真空度95%あたりでは常温でも沸騰しはじめます。
しかし、チャンバー内で沸騰しているものの熱エネルギーの移動はほぼないため、食材を加熱するほどの変化はありません。
つまり、熱くもないのに水蒸気が発生している状態です。
あたたかい食材を真空パックするということは、脱気開始直後から表層の水分が気化しはじめ、減圧による温度低下のため、より液体に戻りやすいという状態です。
したがって、チャンバー内および真空ポンプ内外に結露が発生するため、早期の劣化を招いてしまいます。
長く愛用するコツは、食材は1~10℃にしっかり冷まし、真空ポンプを適度に休ませながらパックすることです。
業務用のモード搭載の上位機種でさえ、ホットパックの日持ちは3日程度とされています。
粘度の高い液体は要注意
濃度のあるたれ類やカレー・シチューなど粘度の高い液体は、沸騰の際の気泡も大きくなるため、吹きこぼれやすくなります。
食材はしっかりと冷まし、袋を立てた状態で1/3の高さ程度にとどめ、絶えず様子をうかがいながら脱気密封してください。
煮豆の真空パックに注意
豆類に含まれるサポニンという成分は発泡性があります。
黒豆や五目豆など大豆を使った煮豆料理の真空パックは、袋に入れる量を減らすなどの注意が必要です。
生野菜の真空パックはできない
生野菜は絶えず呼吸し、野菜自身の成長を促すエチレンガスを産生しています。
そのため、いつのまにかフィルムの密着もゆるみ、鮮度も劣化します。
空中の果菜>地表の葉茎菜>地中の根菜の順でより顕著に現れます。
野菜・果実の真空パックを試みるには、ブランチングなどで酵素を失活化させるか、呼吸を止めてから脱気密封する必要があります。
まとめ:家庭向け真空パック機はチャンバー式が圧倒的にラク。そして便利。
ほとんどすべての家庭向け真空パック機は、真空(減圧)の仕組みを利用したものではありません。
あくまでも、キャニスターやコンテナを外付けすれば、真空保存もできるパック機です。
基本は吸引器であり、袋の中の空気を吸い出せばそれまで。
そこから負圧側へは行きようがありません。
さらに、操作やメンテナンスがストレスになり、やがて使わなくなってしまうというケースも多々ありました。
その点、チャンバー式はふたのロックも必要無く、タッチひとつで作動します。
しかも、チャンバー内で起こっているのは単純に空気の移動なので、そうかんたんに吹きこぼれるわけでもなく、メンテナンスといえば軽いふき掃除ぐらいのもの。
それでいて、業務用レベルで真空パックできるのですから、有能なキッチン家電としてカップボードに配置してもいいでしょう。
決して安い買いものではありませんが、安価な真空パック機で不満を募らせるよりも、最初からチャンバー式を手にする方がはるかに満足度は高いでしょう。
ただし、一度に処理できる容量や連続運転の耐久性など、あくまでも家庭用の域です。
真空パックんシェフ2は、公式出品からの購入でのみ1年間の保証を受けることができますが、連続運転など使用状況によっては保証されないケースも有ることは承知しておきましょう。
基本的に価格は統一されていますが、モール独自の大幅なセールやポイント還元が無いのであれば、おまけも配送の品質も充実している公式サイトからの購入がおすすめです。
公式サイトで利用できる電子決済も充実しており、配送業者も日本郵便の大型荷物に限定されているため、粗雑な置き配もなく安定していますよ。
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